ニュージーランド、ウエリントンへ

 約一ヶ月間滞在したロンドン、バービカン・シアターの公演が終了。次の旅先はニュージーランド、首都ウエリントンで二年置きに開催されているnewzealand international arts festival での公演である。ロンドンからバンコック、シドニー経由でウエリントンまでは26時間の飛行。久しぶりの長距離飛行と12時間の時差でさすがに体がいうことをきかなくなっている。ロンドンは寒い冬から春への移行期に入るところだったが、こちらは秋。といっても日中は20度ほどで日差しが強く、日陰との差がかなり激しい。マオリ民族やアジアからの移住者がヨーロッパ人と混成する海に囲まれたこの街はどこか日本の南国沖縄を彷彿とさせる。数キロ四方の小さな都市で散策にはもってこいの地であるが、時差ぼけの疲労がそれを容赦なく拒む。結局食事の際に周囲数百メートル内を歩く数日間が過ぎ、リハーサル、公演へと続く。劇場はバービカンよりもこじんまりとした古いイタリア式オペラハウスのような建物。音響は生音でも三階バルコニーまで完全に届き,一つ難関を突破、舞台は砂を敷かず赤い絨毯を一枚敷いただけの徹底した簡素化、左右に広がったバービカンの舞台から横幅のかなり狭くなったこちらの舞台で役者たちは距離感の把握にしばし悩む。ここでの通しリハは一日だけ、初演前に学生たちを招待しての前公演があるが、かなり即興力が問われる舞台となるだろう。

      
            マオリ民族の彫刻