2010-01-01から1年間の記事一覧

NARASIAそしてキム・メジャ

平城遷都2010年NRASIAグランドフォーラム。奈良県が一年に渡って繰り広げてきた1300年前の平城遷都を祝す大祭のフィナーレを飾るこのフォーラムに12月の18日、19日の両日にわたって出演してきた。このフォーラムの仕掛人は長いお付き合いになる編集工学…

梁塵秘抄の地、青墓・円興寺を訪れる

桃山晴衣の三回忌を迎えた。といっても、彼女のことを没後三年目に思い出したり偲んだりといったことには、少々違和感を覚えている。というのも、他の誰かに逝かれた場合とは違って、毎日彼女は自分の中に宿っている感が強く、あの世とこの世を行き来する霊…

桃山晴衣の三回忌

12月5日 桃山晴衣の三回忌を迎える。昨年は海外公演でパリに滞在していたためサクレクール寺院にお参りにいき、ピーター・ブルックの拠点であったブッフ・ドュ・ノール劇場でピーターはじめ親交のあった大勢の人たちが集まってくれ彼女を追悼するコンサート…

茅屋根解体奮闘記 2

杉の丸太を縦に横にとはりめぐらせ、その間にさらに数えきれないほどの竹の棒を結びつけ、ヨシズを屋根一面に敷き詰めながらその上に茅を何段にも重ねていき、内と外から縄で絞めて固定していく。なんとも時間と力を要する仕事であるが、今回は解体するにあ…

茅屋根解体奮闘記 1

故・桃山晴衣と私の活動拠点として1987年に建てた立光学舎は、郡上でもおそらくは一軒しかない茅屋根のシンボリックな建物だった。建立当時は、昔かろうじて自ら茅を葺いたことがあるという古老たちが地区に残っていて白川村の合掌作りの葺き方を真似て完成…

NARASIA2010で韓国舞踊家キム・メジャさんと共演

今年の夏、ソウルLGアートセンターでのピーター・ブルック演出「11&12」の公演で韓国を訪れてから、自身の音楽活動にも韓国のアーティストとの創造的交流が始まり出した。その一つが、12月19日に奈良の平城遷都1300年記念イヴェントの最後を飾るグランドフォ…

紺碧の空の下で開かれた創造塾

海外公演が続いていたため、一年半ぶりに郡上立光学舎での連休日三日間のワークショップをやっと開催することができた。初日は雨まじりの薄曇りとなり室内でのワークにしたが、うってかわって二日目はどこまでも突抜けるような青空。その空の青を水面に映し…

茅葺屋根の立光学舎での最後のワークショップ

建立して23年ほどになる立光学舎は、郡上では全くといっていいほど見られなくなった茅葺屋根の芸能堂である。白川村にある芸能堂をモデルにした檜の広間が部屋のほとんどを占める。茅屋根は郡上にかつてあった葺き方で地区の古老たちが中心に大勢の村の衆の…

高雄歌舞伎と立光学舎

昨夜、久方ぶりに我が高雄歌舞伎の稽古を観てきた。岐阜県は全国的にも地歌舞伎あるいは農民歌舞伎とよばれる庶民の芸能団体が最も多いところであるといわれている。その中でも200年の伝統を持つという我が市島地区で続けられてきた高雄歌舞伎は断トツに芸達…

戻って来た楽器たち

先日、「11&12」の世界ツアーで使用していた私の楽器が、一時保管されていたパリから二ヶ月ぶりにすべて戻って来た。「ハムレットの悲劇」以来使い続けて来たアフリカのドラム。ニュージーランドの税関で入国を拒否されかけたバラフォン。二十数年前に「マハ…

郡上・立光学舎の秋季ワークショップ

9月も半ばを過ぎ、朝夕めっきり涼しく、陽が短くなってきた。周りの田んぼでは稲刈りが始まり、各地区は神楽や祭りで賑わいをみせている。いつもと変わらぬ郡上の季節の移ろいではあるが、歳を重ねるごとにこれらの風景によせる思いも変わってきている。昨年…

Art&Eat「ティエルノ・ボカールのことば」

九月に入っても東京は36度超えの残暑。馬喰町Art&Eatでのイベント「ティエルノ・ボカールのことば」は一週間前から既に予約オーバーで、入場できなかった方には本当に申し訳ありませんでした。この武眞理子さんがディレクとするギャラリー・レストラン、馬…

馬喰町ART&EAT「ティエルノ・ボカールのことば」のお知らせ

お知らせ!9月3日、馬喰町ART&EATでの帰国イベント「ティエルノ・ボカールのことば」は、予約が満席状態になりました。申し訳ありませんが、立ち見席がわずか残っているということでございますので参加希望の方は予約をお急ぎください。 PS.このお知らせを書…

帰国イベント「ティエルノ・ボカールのことば」のお知らせ

先に「11&12」の使用楽器、エスラジについて記しましたが、日本ではほとんどパーカッションをメインにしたコンサートが多く、これまでこの擦弦楽器の演奏はあまり披露してきませんでした。そこで、ブルックの「11&12」が日本で公演されなかったこともあり、…

「11&12」の音楽について(2)エスラジ

ピーター・ブルック国際劇団で音楽活動を始めて30年以上になる。 1976年に入団した当初は、まだフリージャズのドラマーとして活躍していた頃で、即興劇で演奏したのも簡素化したドラムセットだった。翌年の「ユビュ王」ではこのドラムセットに小さな笛などが…

「11&12」の音楽について(1)桃山晴衣の梁塵秘抄

昨夏、英語版「11&12」の制作準備で新しい役者たちがポーランドのブロツワフに集まり、グロトフスキ協会の助力によってポーランド劇場で数週間のプレリハーサルを行っていた。この数ヶ月後に再び役者たちはパリに集まり、本格的なリハーサルを始めたのだが、…

「11&12」世界ツアー終了

「11&12」の世界ツアーがイタリアのスポレートで幕を閉じた。気分的には韓国ソウルで終わりたかったのだが、三日間の公演が後で付け加えられたのである。わたしを除いて役者やスタッフは居住地がヨーロッパないしはそこから近い所であるため、問題はないが、…

ソウルの日々(3)

ソウルに滞在中、毎日のように人に会っていたおかげで観光らしい観光もできずじまいだったが、五年前にリニューアルされたという国立中央博物館だけはどうしても見ておきたく、時間の合間をみて出かけてきた。考古、歴史、美術などの部門に分かれた展示室は…

ソウルの日々(2)

韓国の音楽の中でもよく知られている打楽演奏,サムルノリ。チャンゴ、プク、ケンガリ、チンの四種の打楽器群からなるこのパーカッションアンサンブルが世界の注目を集めるようになったのは、今も現役で活躍する金徳寿(キム・ドク・ス)の功績によるところが…

ソウルの日々(1)

韓国ソウル、LGアートセンターでの「11&12」公演は、6月17日から20日の四日間、盛況裡に終わった。ロンドンのバービカン劇場と同じく千人以上の客席を有する劇場だったが、空席はほとんど見られず良い観客に恵まれ、うち一日は終演後、トークショーで観客た…

アンニョンハセヨ・ソウル

「11&12」グループはシドニーからアジア最終公演地、韓国のソウルに到着。もう何十ヶ国も世界中を廻って来た私だが、韓国と中国にだけは足を踏み入れていず、まさに近くて遠い国だった。私の旅は日本から最も遠い国、アフリカに始まりいよいよ30年目にして隣…

「マハーバーラタ」から「11&12』へ

オーストラリアはピーター・ブルック劇団にとって思い出深い公演地の一つだ。1979年にシドニーで「イク族」「鳥たちの会議」「ユビュ王」の三作品を上演したが、場所は一般の劇場ではなく市外の石切り場での公演で、アボーリジ二との交流もあった。またその…

バラフォン入国禁止

5 月30日、オーストラリア、シドニー空港に着くなり、予期せぬ出来事が起こった。シンガポールから手荷物で持って来た私の楽器のうち、西アフリカ製のバラフォンが税関の検査で持ち込み禁止となり、小一時間ほど主催者側マネージャー等と一悶着。バラフォン…

バブリング・シンガポール

「11&12」アジアの旅のスタート地はシンガポール。ここには30年前に「マハーバーラタ」の音楽製作でバリ島に行くためのヴィザをとるために数日間滞在したことがあるが、高層ビルの林立するバブリングな街の変貌には驚かされた。役者たちは周囲が皆アジア人に…

郷に入れば郷に従え?

旅の鉄則のようにいわれる「郷に入れば郷に従え」ということわざ。しかし今回のような一年に渡る短期移動型の旅ではそれもままならぬこと多し。遠く離れた国に数時間で飛行してしまえる現代、郷に従う以前に時差ぼけのまま次の郷へと移動しなければことがあ…

マドリードの五月の蠅

長いイギリスツアーが終わり、舞台はスペインのマドリードへ。ここで久しぶりにピーター・ブルックと合流、着いた翌日から再び「11&12」の通し稽古が始まる。既に27回を迎えるというマドリードのフェスティヴァル・オトノ、秋のフェスティヴァルということだ…

ピーター・ブルック「11&12」インタビュー/BBC&GUARDIAN

今日、「11&12」英国公演をすべて終え、パリで一時の休暇。 なんとも残念ですが日本ではほとんど紹介されていない「11&12」、ロンドン公演の際にBBCとGUARDIANが放映したブルックのインタビューがYou Tubeで配信されているので紹介しておきます。

イギリス公演最終地、キングストン・アポン・テームズ

今年初め、ロンドン・バービカン劇場からスタートした「11&12」のイギリス公演は、中にニュージーランド・ウェリントンを挿んで、グラスゴー、ノッティンガム、ニュー・キャッスルを経てキングストン・アポン・テームズで終わる。ここキングストンはロンドン…

ソティギ・コヤテ

今日20日からニューキャッスル、ノーザンステージでの本番。まだアイスランドの火山噴火の影響が続いており、スペインに帰っていた劇団員の一人が車を乗り継ぎパリまで出かけ、私たちと同じ経路、フェリーと列車を乗り継いでイギリスへ、本番30分前にどうに…

あわただしい日々と名優ソティギ・コヤテの死

『11&12』英国公演ツアーは公演地から公演地の間に移動休暇が多く、ノッティンガムから次のニューキャッスル間は急遽歯の治療のためにパリに戻った。ところが、無事に歯の治療は済ませたものの、翌日の飛行機でパリからニューキャッスルへと飛ぶ予定が、とん…