茅葺屋根の立光学舎での最後のワークショップ

 建立して23年ほどになる立光学舎は、郡上では全くといっていいほど見られなくなった茅葺屋根の芸能堂である。白川村にある芸能堂をモデルにした檜の広間が部屋のほとんどを占める。茅屋根は郡上にかつてあった葺き方で地区の古老たちが中心に大勢の村の衆の助力を得て葺いたが、この茅屋根は意外と数年で持たなくなり、本格的に会津地方の職人さんに葺き直してもらいりっぱな屋根に替わった。しかし雨の多い郡上では20年も経つとさすがに軒先から徐々に上へと破損が進み、とりわけ陽当たりの悪い北向きの屋根の方に被害が集中。こちら側は見た目には苔むして美しい景観になるのだが、冬になると大雪が苔ごと茅をバサッと剥ぎとって落ちていく。まさに20年の風雪に耐えた素晴らしい茅屋根だったが、この間、葺いてくれた三人の会津の茅葺きさんのうちお二人も亡くなられてしまった。天井に立ち上っていく囲炉裏の煙をみながら、時を忘れて多くの人と語り合った日々を思い出す。
 実はこの茅屋根、雨漏りが烈しくなり、海外公演で長く外出していた時にかなりのダメージを受け、部分修理では追っ付かなくなり、全面葺き替えになる。といっても今度は、予算も職人さんも手はずがつかず、茅はあきらめざるをえなくなった。
 ということで、チラシ等のご案内には書き忘れていたこと。茅屋根の下で行うワークショップは今回が最後になります。日一日一日と木の葉が枯れては舞い落ち、山が赤に黄にと染まっていく秋。
 今回のワークショップでは立光学舎建立時の様子も含め、この茅葺芸能堂で10年間にわたって桃山晴衣と創造した第一回「伝でん奥美濃話」の貴重なVTRが発見されたのでこれを鑑賞し、囲炉裏談義をと考えていますのでお見逃しなく。ワークショップまでは一週間をきりますので、参加希望の方はお申し込みをお急ぎください。

ワークショップの詳細は http://homepage2.nifty.com/w-perc/work1.pdf



立光学舎の茅屋根を葺いてくれた会津の職人さんたちの勇姿

茅葺き職人さんたちが私たちへの贈り物として建ててくれた井戸の小屋