2012-01-01から1年間の記事一覧

良寛修行の寺、玉島円通寺での唖蝉坊演歌の会

2012年11月25日三連休の最終日、どんよりした毎日が続いていたと思っていたら、うってかわっての秋晴れ。この日、今年から各地に巡礼を始めた「邦楽番外地・添田唖蝉坊・知道を演歌する」の本年最後の公演を岡山県玉島の円通寺で行うことになった。そもそも…

【土取利行の邦楽番外地】添田唖蝉坊・知道の明治大正演歌を唄う旅2012年11月

パートナーの故・桃山晴衣が直接20余年にわたって添田唖蝉坊のご子息で演歌二代ともいわれる添田知道師から学んだの演歌の本道を伝えるべく、一昨年前からスタートした土取利行の演歌巡礼は、今年から全国各地に拡がっています。この11月公演は今年最後の巡…

桃山晴衣の音の足跡(40)  ハムザ・エルディーンとの出会い

桃山晴衣とハムザ・エルディーン:スタジオ200> 桃山晴衣が1980年の9月を機に自ら働きかけ、自らの足で出かけ唄い続けた「梁塵秘抄ツアー」はひとまず一年半で区切りをつけた。「いくら書いても書き尽くすことのできない、清々しい想い出と感激的な交流。そ…

野尻抱影が書いた鹿島清兵衛との出会い

桃山晴衣の遺した添田知道関係の書物に「素面(すめん)」という機関誌が多くある。この「素面」は、知道師が同行者とともに昭和36年(1961年)から昭和55年(1980年)まで、20年間にわたって発刊してきた同行誌(知道師は同人とよばず、お遍路用語の同行を好…

土取利行・邦楽番外地:岡山西大寺、京都メトロ大学公演から

これまで我が立光学舎と東京の馬喰町ART+EAT、サウンドカフェ・ズミで行ってきた明治大正演歌・添田唖蝉坊、知道の世界、名付けて「土取利行・邦楽番外地」の公演を、初めて他県で本格的に行うことになった。 岡山・西大寺での「土取利行・邦楽番外地ライブ」…

歌の流れと人の身は:添田知道

添田知道師の名著「演歌師の生活」の結びに掲載された近代流行歌の流れを書いた名文。日本の唄について本質的な問題にふれているのでそのまま掲載させていただきました。多くのことを考えさせられます。 <添田知道(左)と演歌師・長尾吟月氏/浅草木馬館で1…

「土取利行・邦楽番外地:添田唖蝉坊・知道の明治大正演歌の世界」岡山〜京都公演のお知らせ

岡山公演「土取利行・邦楽番外地:添田唖蝉坊・知道の明治大正演歌の世界」故・桃山晴衣さんに捧ぐ 出演:土取利行(唄・三味線・打楽器) 岡大介(唄・カンカラ三線) 山脇正治(ベース・沖縄三線) 日時:9月7日(金)19時開演 会場:岡山・西大寺観音院…

「炎夏」の「演歌」/ 郡上・立光学舎での「うた塾」とコンサート

今夏8月10(金)11(土)12(日)の三日間、立光学舎においてワークショップ「うた塾」を開催した。「うた塾」はかつて桃山晴衣が、立光学舎や東京のシアターXなどで、日本のうたを教えるために設けたワークショップで、最初は役者を目指す若者に基礎的な身…

今夏「うた塾2012」と立光学舎ワークショップの変遷

桃山晴衣と立光学舎で> 80年代は日本はバブル景気に浮かれていた。私と云えばそんなこととも露知らずブルック劇団の音楽監督として「マハーバーラタ」の音楽制作準備でインドを始めアジア各地を、音楽・芸能渉猟のために駆け巡っていた。時折、日本に帰って…

桃山晴衣の音の足跡(39)「梁塵秘抄」(其の七)最初と最後の作曲

桃山晴衣は2008年12月に逝去する前年に、ずっと書き続けていた梁塵秘抄に関する文章を「梁塵秘抄・うたの旅」(青土社)として上梓した。この頃は再び梁塵秘抄の作曲にも着手していて念願の足柄でのコンサートも夢見ていた。新曲を発表しながらこれから百コ…

「唖蝉坊」と「堺利彦」/東京吉祥寺Sound Caffe Dzumi

サウンド・カフェ・ズミでの二度目の明治大正演歌を唄い・語る会。今回の選曲は唖蝉坊のラッパ節から沖縄の与論島に伝播し、さらに変奏されて多くの者に唄われている「十九の春」。 江戸末期から明治初期にかけて中国から伝播された明清楽の「紗窓」を桃山晴…

邦楽番外地・明治大正演歌プロジェクトへ向けて

「明治から大正への流行調を大別すれば、三味線調時代、朗詠時代、唱歌調時代、壮士節時代、浪花節節影響時代、小唄時代。・・・そしてそれ等の波動を表面に見せながら、然もその背後に流るる情調は依然伝来の三味線調である。ここに国民性を見逃すことの出…

韓国の音楽家キム・チュホン氏来舎

<ノルムマチ> パリから帰ってきてまだ時差ぼけの中、名古屋で韓国の打楽器集団ノルムマチのコンサートを終えたリーダーのキム・チュ・ホン氏が我が家を訪れた。彼とは2年前にピーター・ブルックの『11&12」公演をLGアートセンターで行った時に、知人から…

土取利行の弾き唄い/ 東日本3.11

土取利行・弾き唄い/ 東日本3.11 思い草春にゃ雪融け木の芽も出るに 融けちゃならない あの地獄釜西の浄土は極楽浄土 東の浄土は苦界の浄土瓦礫に花が咲くものならば 分けてあげたいこの黄金花絆きずなと叫んでみても 死んだ父母(ふたおや)戻っちゃこれぬ…

ピーター・ブルックとのパリ

<パリのワークショップ撮影で土取利行とピーター・ブルック> 四月の二十日過ぎから二週間程パリに滞在し、ピーター・ブルックの長男であるサイモン・ブルックによるドキュメント番組「Tight Rope」撮影に参加してきた。これはフランス国営放送ARTEを始め、…

桃山晴衣の音の足跡(38)「梁塵秘抄の世界」其の六

「「梁塵秘抄」は、日本芸能にずっとたずさわってきた私が、江戸からこっちにあきたらなくて探し続けていた世界をバッチリと持っていた。これは現代にも古いものをよみがえらせる、なんてものではなく、現代へのメッセージだ。”古典、むつかしいもの”教育の…

桃山晴衣の音の足跡(37) 梁塵秘抄(番外編)美濃青墓再訪問

3月18日、彼岸の入りのこの日、先々月から開始した立光学舎「いろりわの会」のプログラムとして計画していた美濃青墓に「梁塵秘抄」の史跡を訪ねた。実はこの日、大垣市の青墓だけでなく関市の新長谷寺で年に一度だけの貴重な念持仏御開帳があるとのことで、…

3月東京での講演と公演(3)

港千尋氏とNHKのTV番組「闇に残されたメッセージ〜人類最古・洞窟壁画」の収録で、ナビゲーターとして南仏の壁画洞窟を一緒に巡り歩いたのは2002年の冬。NHKがハイビジョン用に洞窟の番組を作るために相談にのって欲しいということが発端だった。その前年、…

3月東京での講演と公演(2)

3月4日、昨日の「マハーバーラタ」上映会でのトークに続いて、この日は吉祥寺のサウンド・カフェ・ズミでの演歌の会。「邦楽番外地・添田唖蝉坊・知道を唄い語る」と題し、唖蝉坊演歌を三味線で弾き唄い、唖蝉坊の人となりを語った。桃山晴衣が添田知道さ…

三月の東京講演と公演(1)

着いた日は小雨降る肌寒い夜だったが、翌日はからりと晴れて春陽気になった。この日3月3日は、日仏学院でのピーター・ブルック「マハーバーラタ」上映会でのトーク。彩の国さいたま芸術劇場で上演予定のブルック・オペラ「魔笛」(モーツァルト)のプレイ…

3月4日Sound Caffe dzumiのイヴェント予約電話番号の訂正のお知らせ

先日のブログ、また配布させていただいたチラシ等に以下のイヴェントの予約電話番号の間違いがありました。申し訳ありませんでした。予約できなかった方は今一度確認の上、お申しこみください。土取利行・邦楽番外地 添田唖蝉坊・知道を弾き唄う 3月4日(…

【3月のイヴェント案内】土取利行・港千尋対談「壁画洞窟が語りかけるもの」

【3月のイヴェント案内】 3月は3日、4日、8日と東京でイヴェントを行います。 ■三番目のイベントはおなじみとなった馬喰町ART+EATでの港千尋氏との対談「壁画洞窟が語りかけるもの」です。港氏と初めて会ったのは2003年にNHKで放映された「暗闇に残され…

【3月のイヴェント案内】2 「土取利行の邦楽番外地/添田唖蝉坊・知道を弾き唄う」

3月は3日、4日、8日と東京でイヴェントを行います。 ■二番目のイベントは、フリー・インプロビゼーションやフリー・ジャズを専門とする吉祥寺のサウンドカフェ・ズミでの「土取利行の邦楽番外地/添田唖蝉坊・知道を弾き唄う」です。私の十八番であるフリ…

3月のイヴェント案内

【3月のイヴェント案内】 3月は3日、4日、8日と東京でイヴェントを行います。 ■まず始めはピーター・ブルック「マハーバーラタ」上映とトーク 3月3日(土)14;30開演 会場:東京日仏学院エスパス・イマージュ *入場料無料、事前申し込み不要。 …

桃山晴衣の音の足跡(36 )『梁塵秘抄』の世界 其の五

NHK大河ドラマ「平清盛」の影響か、桃山晴衣の「梁塵秘抄」とりわけ「遊びをせんとや生まれけん」が大いに注目されている。youtubeではこの曲を以前から流していたが、カウントが一年で2000にも満たなかったものが、この三週間程で9000を超えている。NHKの影…

桃山晴衣の音の足跡(35)『梁塵秘抄』の世界 其の四

「中世の激動期に完成された『梁塵秘抄』」 「梁塵秘抄が」誕生したのはいつ頃で、その背景はどのようなものだったのか。桃山の著書「梁塵秘抄・うたの旅」を参考に概説してみよう。桃山は「後白河院の祈念と企て」と題する章で、まず「何かに憑かれたとしか…

桃山晴衣の音の足跡(34)『梁塵秘抄』の世界 其の三

ここで『梁塵秘抄』について簡単な説明をしておこう。 『梁塵秘抄』は平安末期に大衆の間に最も広く流行した歌謡、「今様」が、後白河法皇によって集大成された歌謡集である。明治44年和田英松博士の尽力でその一部が発見され、翌大正元年佐々木信綱の手によ…

桃山晴衣の音の足跡(33)「梁塵秘抄」の世界/其の二

「裏の雑木林を風が吹きわたる葉ずれの音を、驟雨と聴き紛うことがある。逆に大粒の雨の降り出しを風と聴き違えることもある。一陣の天意にふりはらわれて地面に滲みる幾百万の雨滴。わくら葉のひそやかな離脱・・・・」 先に桃山晴衣が75年から80年にかけて…

桃山晴衣の音の足跡(32)「梁塵秘抄」の世界/其の一

『遊びをせんとや生まれけん〈梁塵秘抄の世界〉』(VIH28036)は、歴史の奥深く沈んだ民衆の歌を現代に甦らせようとの大胆な試み。桃山晴衣は創造力の一切を賭け当時の音曲を復元し、その上で現代人の感覚と交錯させることに成功した。作曲、三味線、唄の三…

桃山晴衣の音の足跡(31)辰年に「夜叉姫」

昨年書き続けてきた「桃山晴衣の音の足跡」が、宮薗修業時代のところから休筆状態になってしまっていたが、その続編を今年の干支、龍年にちなんだ話とからめてスタートしてゆきたい。龍は世界各地の古代神話に登場するが、日本でも出雲の八俣の大蛇神話に語…