『浜辺のサヌカイト』クルーについて

 

『浜辺のサヌカイト』クルーについて

 

 五月に入り、いよいよ今月「浜辺のサヌカイト」映像録音に入ります。コロナ禍で外国にも東京にも行けなくなり、添田唖蝉坊の遍路旅調査で讃岐を訪れるうち、三、四年前からこのプロジェクトが動き出し、ここ二年のうちに演奏の計画が進められ、今年から実行委員会による具体的なクラウドファンディングによる実現への道が開かれました。本プロジェクトのクルーは、これまでの私の古代三部作ともフリージャズでのスタッフとも別の、新しいスタッフで構成されました。これから彼らのプロフィールもご紹介してゆきますが、一言でいえば、これまでの私のクリエイティブな活動に関わってくれた方同様に、出会いと縁で結ばれた人たちです。撮影隊と録音隊もそれぞれ今回が初めての共同作業になりますし、即興演奏という未知のストリームにどう反応してくれるかも楽しみです。クルーはそれぞれ何度か浜辺の視察をおこなっており、先日は映像の長岡マイル氏と音響の庵谷氏が浜で合流しました。この後、もう一人写真家の小笹氏が駆けつけてくれ、映像、音響、写真のクルーで当日は浜辺に立ちます。

(写真は右より、土取、長岡、西森、庵谷。)

 

浜辺のサヌカイト」クルーの紹介。

【撮影・編集】長岡マイル。

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長岡 参(ながおか まいる)

映画作家。1979年、千葉県四街道市生まれ。映画美学校を卒業後、フリーランスとして東京で様々なクリエイティブの仕事に従事した後、より本質的な暮らしとは何か?を考え、それを映像化するべく2010年に拠点を徳島に移し、民俗学的/文化人類学的視座と、一生活者としてのリアルな感覚の間に立ちながら作品制作を開始。代表作に全国の限界集落を探訪したドキュメンタリー映画『産土』や、6年間に渡り1人の老美容師を追い続けた『神山アローン』等がある。初のフィクション作『あわうた』は、ポルト国際映画祭にて二部門を受賞した。

・産土 [ ロング予告編 ] https://vimeo.com/56502385

・神山アローン [ 本編 U-NEXT ] https://video.unext.jp/title/SID0061897)

・あわうた [ 予告編 ] https://vimeo.com/605484596/fbb55b8d8d

・最新作、音、鳴りやまぬ。 [ 予告編 ] https://vimeo.com/679054244

 

カメラの位置を確かめる長岡マイル

 
 撮影隊についてはいろいろな人をあたっていた。何度目かのサヌカイト調査で讃岐を訪れ、同時に進めていた他の音楽プロジェクトのために徳島を訪れることをTWに書いたとき、徳島においでのときはご案内いたしますという返事が来た。彼が映画監督で徳島の過疎の村としてもしばしば取り上げられる神山近くの廃屋を拠点として映画作りに専念し、民俗学的視点に立った作品を制作していることにも興味を持ったため、鳴門に行く機会を見て会い長話をした。そこで知ったのが彼は先日逝去した映画作家青山真治氏の教え子だったということ。青山真治氏については説明を要しないと思うが、彼が長時間にわたって関係者にインタビューをして作った長編映画『AA』の制作準備に関わっていたことも知った。AAとは、私や近藤等則、高木元輝、阿部薫、吉澤元治等と活動を共にしていた音楽評論家・プロデューサーの間章のことで、ここではサヌカイトの話よりもAAの話題になっていった。その後長岡氏とは徳島の民俗芸能の話などでメール交換をしていたが、サヌカイトプロジェクトへの参加を決めたのは青山真治氏の突然の逝去があったことも大きい。『AA』の映画でのインタビューには出演しなかった私は映画完成後、間章の故郷新潟での記念会に近藤等則、豊住吉三郎、高木元輝と演奏に出かけた。(高木氏はその数日前に亡くなった)この演奏後、青山氏と長話をし、この時のヴィデオも送ってもらった。その後ずっと会っていなかったが、この『浜辺のサヌカイト』で最近FBを立ち上げると毎日のように彼がgoodサインを送ってくれていた。死が知らされる前日まで。ここで新たなA/Aが始まった。間・青山である。長岡氏はドキュメント作家として修練を積み、今高潮の活動期に入ってきたと思う。あえてこのドキュメンタリー作家に音楽撮影、しかも一夜で終わる台本もない即興演奏の記録を頼んだのも、音楽を愛し、自らを問い続けてきた二人のAAとの不思議な出会いと縁ゆえである。

 

 

「浜辺のサヌカイト」クルー紹介

【録音担当】

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音風景作家 サウンド空間デザイナー 

庵谷文博(イタニフミヒロ)

1989年、英国アビーロードスタジオ、リアルワールドなどレコーディングとPAの視察研修を終え、1991年、制作事務所を設立。1997年、ルーカスフィルム視察の後に「ベッセルおおち大ホール」にDCSをメンバーとして納品。同年、若い人へ向けて「サマースクール」と題し、音響編集賞部門のアカデミー受賞者を招いた映画の作り方セミナーを現地オペレーション(1997~1999)。その後、様々なアーティストのPAとレコーディングの傍ら音の風景を撮り歩き、日本の音風景 Sounds of Nature Shikoku Island Japan「シーサイドアベニュー(鎌倉FM)」にてオンエア中。

「旅情を聴く」より

「小豆島」

沖ノ島  http://www.seaside-avenue.net/syodoshima/shodoshima_10.html

戸形   http://www.seaside-avenue.net/syodoshima/shodoshima_05.html

城山桜公園 http://www.seaside-avenue.net/syodoshima/shodoshima_06.html

「鎌倉」

由比ヶ浜  http://www.seaside-avenue.net/syonan/a49.html

 

浜辺で波の音を録音中の庵谷

 香川と鎌倉に拠点を持ち、とりわけ生まれ故郷である讃岐の海の音を誰よりも熟知するサウンドエンジニア。今回のプロジェクトはサヌカイトの演奏に加え、浜辺の波の音の録音が重要となるため、参加を依頼した。

 

 

「浜辺のサヌカイト」クルー紹介

【写真担当】

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小笹純弥(写真家) 

1984年福岡県出身 北海道釧路市在住

星野道夫氏の「森と氷河と鯨」に出会い、北方先住民族に共通するワタリガラスの神話に興味を持つ。大学在学中にカムチャツカ大学へ留学。ロシア語通訳としても働きながら、主に厳冬期に凍結した湖での撮影を続けている。

【個展】

2011 呼び声の主たちの肖像 / ジスイズ百歳座 (釧路)

2021 湖の唄と神話の種 / 廊- KOHBUNDO (帯広)

【グループ展】

2011 佐々木秀明展+アート5 雫を聴く 釧路芸術館

2013 道東アートファイル2013 in the LIGHT/ in the SHADOW / 北海道立帯広美術館

2018 noka - 眼と手と - 下倉洋之×小笹純弥二人展/ mint cafe-GALLERIA オリザ

Jyunya Ozasa Web Portfolio

https://junyaozasa.wixsite.com/fareastcosmology

*写真は、先日演奏の浜辺にきたときに撮影された一枚。

 

 

小笹純弥氏との出会いは昨年暮れの北海道、阿寒湖。今年11月予定の北海道大学でのアイヌ・ソングと縄文鼓コンサートに出演してもらう予定の、阿寒湖に暮らす床絵美さんと郷右近 富貴子さんを訪ね、床さん宅で音合わせをしている時に訪ねてきたのがカメラマンの小笹氏。聞けば阿寒湖を毎年のように訪れ、氷の張るのを待ち、一冬中その湖の鏡に映る表情を撮り続け、やがて湖の氷が 溶け出す頃には寝ずの夜も厭わず、その御神渡る声を聞き取るという異能者。彼の作品を見た時、水を愛し自然を愛するこの写真家に瀬戸の海の鏡、浜辺の鏡を撮ってもらおうと思ったのは自然のことだった。なお今回のクラウドファンディングの支援者への返礼品として小笹氏の写真によるポストカードが支援コース全てにつきます。他のコースの返礼品など、詳しくはこの FBトップのクラウドファンディング案内ページをご覧ください。