戻って来た楽器たち

 先日、「11&12」の世界ツアーで使用していた私の楽器が、一時保管されていたパリから二ヶ月ぶりにすべて戻って来た。「ハムレットの悲劇」以来使い続けて来たアフリカのドラム。ニュージーランドの税関で入国を拒否されかけたバラフォン。二十数年前に「マハーバーラタ」上演のための調査で訪れたインドのニューデリで購入した横笛(バンスリ)等など。数々の思い出を内包したこれらの楽器群と旅先の冬に身につけていた衣類や靴など、様々な日常生活の品々と一緒にがっちりと積み込まれたこのケースの到着で長いツアーの終わりを実感した。先日は一足先に日本に持って帰ってきた弦楽器エスラジを用いて東京の馬喰町ART&EATで「11&12」の公演の話を交えた朗読演奏会を開いたが、今度は戻って来た楽器のいずれかを10月の立光学舎で開かれるワークショップで演奏することになろう。郡上の秋晴れのもと、久々にアフリカのドラムで体を動かすのも一興かもしれない。

パリから送られて来た楽器ケース