『壁画洞窟の音』レクチャー&サウンド・デモ in大阪

『壁画洞窟の音』(青土社)とCD『暝響・壁画洞窟』(日本伝統文化振興財団)の発売を記念して東京、京都で行なってきたレクチャー&サウンドデモンストレーションを10月18日に大阪で開催。東京の馬喰町ART&EAT、サウンドカフェ・dzumi、京都YU-ANと、これまでは個性的でアーティスティックな各店のオーナーが開催してくれたのだが、今回の大阪は、ここ数年立光学舎の活動や私のコンサートに足を運んでくれている若者たちが自主的にスペースを探す所から動いてくれ実現したもので、とても意義深かった。三重から大阪に週末通いを繰り返しながらこのイヴェント制作を押し進めてきた実行委員長の井上君をはじめ、実行委員会の仲間たち、彼らの自主的な活躍に大いに触発されたこともあり、普通は一時間か二時間で終わるレクチャーが、知らず知らずのうちに四時間近くに及んでしまったのには我ながら驚いた。このロングスピーチの理由は、洞窟の音や旧石器時代縄文時代弥生時代の音についての話を、かなりの集中度で聴き入ってくれていた観客の姿勢にもあった。ところで、会場の「細野ビルヂング」は、地下鉄、西長堀駅前に建つレトロな三階建の建造物で、外観、内観とも、1936年に竣工された当時の面影を色濃く残した大阪の重要建築物の一つである。ビルディングではなくビルヂングとよぶところがまた時代性を感じさせる。大阪での講演は今回が初めてであるし、演奏会も90年代にミルフォード・グレィヴスとのデュオコンサート以来、まったく行なっていない。実行委員会からは、いずれ演奏会にまで今回のイヴェントを繋いでいきたいとのメッセージもあった。彼らと再び創造的な機会が持てることを楽しみにしている。