さようなら筑紫哲也さん
11月7日ニュースキャスターの筑紫哲也さんが逝かれた。筑紫さんといえば1989年から始まったTBSのニュース23のメインキャスターとしての活躍が多くの知るところであるが、ミレニアム2000年の幕開け、1月7日放送のこの番組でご一緒させてもらったことがあった。
「ニッポンのミレニアム いくつもの日本を探して」と題し、北の三内丸山遺跡と南の吉野ヶ里遺跡で民俗学者や考古学者を交えて日本を再考しようとする特集がニュース23で組まれ、二日間に渡って中継されたこの番組の最後、吉野ヶ里遺跡から中継する「金曜深夜便」で私の縄文鼓演奏が紹介されたのである。
この日、筑紫さんと草野満代さんの司会で演奏を終え、縄文土器の梱包を終えたのが午前1時過ぎ。その後、宿泊先の宿に着いた頃には2時をまわっていただろうか。しかし驚いたことに、筑紫さんはじめ、スタッフ一行は食事に手をつけず、私の遅い到着を待っていてくれ、あらためて打ち上げの会を持っていただいた。この会の後、筑紫さんは今日が締め切り日だといって、寝ずの原稿執筆をされていたようだが、早朝宿を発つ際にも見送りにきてくれた。
それから数日後、拙著『縄文の音』の出版記念会が東京で開かれ、この時も多忙な中を駆けつけてくれ、予定外のスピーチをしていただいた。文化を重要視された稀有な存在のジャーナリストで、音楽、映画、パーフォーマンス、美術等、様々なジャンルの文化人とも細やかな神経でお付き合いをされてきた筑紫哲也さん。またご一緒できることを楽しみにしていましたが、叶わぬこととなりました。
ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
「縄文の音」出版記念会で ニュース23吉野ヶ里遺跡ロケ現場で